「状況のストック」に加えて、「ロジカルな理解」も求められる
私が学校の先生に習った英文法で「これだけはよくなかったなぁ」と思うのが、「some / any」の使い分けです。
中学校の先生に、「someは肯定文で使われ、一方で否定文や疑問文になるとanyになる」というお決まりの説明を受けて以来、本当にそうなのか?という疑問を抱き続けていました。
しかしたとえば、次のような文はごく普通に使われます。
Some countries in Asia have not experienced democratization.
(アジアには民主化を経験していない国がある)
Any politican will do.
([仕事をしてくれるなら]どの政治家でもいい)
これを見たかぎり、肯定なら「some」、否定なら「any」という覚え方では明らかに対処できない。
◎ 「疑問文ではanyを使う」は大失敗につながる!?
また、疑問文でも「some」が使われるケースも珍しくありません。たとえば、次のような英文はどうでしょうか。
Would you like some coffee?
これについては、「肯定の答えを期待しているからsomeを用いる」という説明がよくなされます。でも、果たしてはそれは本当なのでしょうか?(私には否定の答えもあるように思えます…)
では、ここで「any」を使ってしまうとどうなるか。大きな誤解をされてしまいます。
「Would you like any coffee?」と尋ねられたネイティブは間違いなくギョッとするでしょう。これは「どんなコーヒーでもいいから、とにかくコーヒーを飲んでみたい?」というニュアンスになりますので、「昨日の出がらしのコーヒー」とか「スポイト1滴分くらいのコーヒー」とか、何かとんでもないコーヒーが出てくるように連想するネイティブもいるかもしれません。
「疑問文だからanyを使う」という覚え方は、間違いになります。
◎ 「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」に踏み出そう
こういうときは、両者の意味をまず根幹から把握したほうが良いですね。抽象度の高い言葉については、映像の中で学ぶことに加え、ある程度、論理的に理解していくというやり方も効果的です。
また、1つの教材だけで学ぼうとすると、間違いを見落としてしまうことがありますから、複数の教材を使い、角度を変えて学んでいくと、こうして勘違いを防ぐことができます。
「some / any」に関して言えば、ちょっと意外かもしれませんが、英語で書かれた「数学の教科書」もしくは数式を多用する「経済学の教科書」がおすすめです。
A technology exhibits constant returns to scale if any of the following are satisfied/
(技術は、次の任意の条件のうちいずれかが満たされるとき収穫は一定である。)
『出典. Microeconomic Analysis (3rd ed.)』
これはグーグル社に勤めている人が書いた経済学の教科書の一部です。
概念の定義に続いて、数式がいくつか並んでいるのですが、これを見たときに私は「anyの意味がはっきりよくわかった」と感じたのを覚えています。
数学が苦手な人には、かえって難しく感じられるのかもしれませんが、ここで私が言いたいのは、「英語を学ぶ」のではなく、「英語で学ぶ」ことの重要性です。
自分に興味あることや実務で知っておくべきことを英語で学んだほうが、結果的に英語力を楽にアップさせられるということもお忘れなく。
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